二輪車用HMDにおける表示情報と表示位置の検討(卒業研究)

概要
二輪車の運転中にライダーへ情報を提示するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)において、視線移動を最小限にしつつ、認知負荷を抑える「最適な表示位置とコンテンツ」を解明した研究プロジェクトです。
開発の背景と課題
次世代モビリティにおいてHMDの活用が期待されていますが、二輪車は四輪車以上に繊細な操作と前方注視が求められます。「不適切な情報提示はかえって事故を誘発する」という課題に対し、人間工学的知見に基づいた定量的なエビデンスが必要でした。
技術スタックとアーキテクチャ
シミュレータからの車両データ取得、HMDへの描画、反応速度の測定を統合した実験システムを自作しました。
- シミュレータ: Assetto Corsa
- 実験バックエンド: Python
- HMD UI: HTML/CSS/JavaScript
- HMD: XREAL Air 2 Ultra
技術的な工夫
低遅延なデータ連携基盤
シミュレータ内の時速や警告情報をHMDにリアルタイム投影するため、Pythonを介して共有メモリから走行データをミリ秒単位で取得し、WebSocketでブラウザベースのHMD UIへ配信するパイプラインを構築しました。これにより、違和感のない情報提示環境を実現しました。
提供価値・ユーザー体験
- 定量的な評価指標: 被験者実験を通じ、特定の情報(標識、速度等)に対する反応時間をミリ秒単位でログ化。
- 柔軟なUIプロトタイピング: UIをWeb技術(HTML/CSS)で実装したことで、表示位置やフォントサイズなどの条件変更を即座に行える柔軟性を確保しました。
成果・運用状況・今後の展望
本研究成果は情報処理学会全国大会にて発表し、学生奨励賞を受賞しました。今後はAR技術を活用し、カーブの曲がり角などの環境情報を実景に重畳させるシステムの構築を目指しています。